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アナウンスメント

若手研究者紹介8

重力波検出器KAGRAにおける標準量子限界を超えた感度の実現
理学研究流動機構 准教授 
宗宮 健太郎


  本研究室では、岐阜県の神岡鉱山内に建設中の光干渉計型重力波検出器KAGRAのメンバーとして、その開発を行なっています。KAGRAは地下トンネル内に長さ3kmの真空パイプを設置し、サファイア製の低温鏡で構成する光共振器内に400kWのレーザー光を蓄積して、遠方のブラックホールなどから飛来する重力波の影響を検出する装置です。研究グループは、高出力レーザーや低温鏡の開発など役割分担して取り組んでいますが、東工大では特に量子雑音を軽減する技術の開発を担当しています。
  量子雑音は、光子の配列揺らぎに起因するショットノイズと、光子数揺らぎに起因する輻射圧雑音とに分かれます。光子の配列揺らぎと光子数揺らぎは正準共役の関係にあり、ハイゼンベルグの不確定性原理から、位置測定の精度について超えることのできない量子限界があることが知られています。KAGRAは、地下設置により地面振動が小さく、鏡の低温化により熱揺らぎも小さいため、その感度は量子限界に到達します。より遠くから飛来する重力波を観測するためには、量子限界を超える感度を実現することが重要となります。
  理論的には、位置測定でなく外力測定をしている重力波検出器の感度は、量子限界を超えることが可能であると考えられており、KAGRAでは2つの技術を導入して量子限界を超える予定になっています。1つ目は、信号取得をするための参照光の位相をずらし、光子数揺らぎを輻射圧雑音としてだけでなく、センシング雑音としても検出することで、部分的に相殺させるというものです。2つ目は、光共振器長をレーザー波長の整数倍から少しずらすことで、重力波が飛来したときに生じる位相信号の一部がレーザーに対する強度変調となって輻射圧経由で鏡を揺らすというループを作り、光のバネを形成して干渉計のダイナミクスを変えるというものです (下図)。光バネは、その共振周波数で重力波に対しての応答がよくなるため、自由質点で定義された量子限界を超えることができるわけです。   東工大では、参照光の位相をずらすために必要となるアウトプットモードクリーナーの制御実験と、軽量鏡を用いてテーブルトップで光バネを形成する実験を行っています。KAGRAは2017〜18年に完成する予定であり、開発した技術を随時インストールしていきます。



図

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