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アナウンスメント

「挑戦的研究賞」の受賞者紹介5

「アミノレブリン酸投与後のポルフィリンを用いたがん検診システムの開発」
大学院生命理工学研究科 生物プロセス専攻 准教授
小倉 俊一郎


先進国における死因の1位はがん(悪性新生物)であり、我が国においても毎年約80万人以上ががんに罹患しており、その対策が急務をなす。がんは早期発見の場合では治療奏功率が高いため、早期での発見が特に重要となる。しかしながら、現在のがん検診システムでは検出できない早期がんの存在が指摘されており、新たながん検診システムの構築が切望されている。

 従来までの研究によって、担がんマウス血中のポルフィリン値は健常マウス血中のポルフィリン値より高いことが指摘されていた。ポルフィリンは蛍光を発する化合物であるため、高感度に検出することが可能である。しかしながら、担がんマウスと健常マウスの差が充分でないため、応用に結びつけるのは困難とされてきた。そこで本研究はポルフィリンの生体内での前駆体である アミノレブリン酸(ALA)に着目した。本研究の概念を図1に示す。被験者の体内に腫瘍が存在する場合では、ALAを投与することによってポルフィリン生成が亢進し、血液や尿にポルフィリンが混入してゆく。一方健常者の場合では、蛍光を発しないヘムに速やかに変換される。以上のことからALAを投与した後の血液・尿中のポルフィリンを用いたがん検診が可能となると期待できる。 ポルフィリンは非常に簡便で高感度に検出できるため、従来では検診が困難であった患者も診断できる革新的なシステムの構築が可能であると言える。

 担がんマウス、健常マウスに対しALAを投与した後に血液・尿中に含まれるポルフィリン値を測定した。結果を図2に示す。ここではポルフィリンの一例としてウロポルフィリンの値を示す。図のように担がんマウスの血液中・尿中ポルフィリン値は正常マウスの値と比較して飛躍的に高い値を示した。また、これらの値は腫瘍の成長とともに大きくなる傾向があり、腫瘍のマーカー として用いることができる可能性が示唆された。(Ishizuka M et. al., Photodiagnosis Photodyn. Ther.,2011, 8, 328-331)

 さらに、共同研究を行っている医療機関においてALAを投与した後の患者尿を採取し、その医療機関内において尿中ポルフィリン値を測定した。膀胱がん患者66名、健常ボランティア者20名に対し、ALAを1 g経口投与した後のポルフィリン値を詳細に解析した。その結果、膀胱がん患者由来の尿中ポルフィリン値は健常ボランティア者と比較して有意に高いことが分かった。 特にコプロポルフィリンを用いた場合はがん患者の検出感度がほぼ100%であった。現在行われている尿細胞診の検出感度が50%程度であるため、本研究の優位性の高さを示すことができた。(Inoue K et. al., Photodiagnosis Photodyn. Ther.,2013, 10, 484-489)



図1

図1 アミノレブリン酸投与後のポルフィリンを用いたがん検診の概念図



図2

図2 ALA投与後のマウス血液中(a)、ならびに尿中(b)のウロポルフィリン値

参考:(研究室ホームページ:http://www.ogura.bio.titech.ac.jp/)

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