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関連資料

アナウンスメント

「挑戦的研究賞」の受賞者紹介3

「革新的ナノ分光計測法の開拓」
大学院総合理工学研究科 物質電子化学専攻 助教
矢野隆章


どんなに性能の良いレンズを使用しても、光の波長より細かな構造を光で見ることはできない。これは回折限界と呼ばれ、この限界により光学顕微鏡の空間分解能は一般的に光の半波長程度に制限されている。この限界を打破しナノメートルの空間分解能を実現する光学顕微鏡がこれまでに数多く提案され、2014年のノーベル賞の受賞対象にもなった。私はこれまでに金属の針を用いてこの限界を打破し、カーボンナノチューブ等の先端材料のナノ分析を行ってきた。このナノ光学顕微鏡の歴史は1992年の金属探針増強型近接場顕微鏡の発表に端を発する。先鋭な金属探針に光を照射すると表面プラズモンポラリトンが金属表面に励起され、その先端において局所的に強い電場が生成されることがKawataらによって発明された。金属探針先端の局在場をナノ光源として利用し、金属探針を試料表面上で走査すると、光の回折限界を超えたナノメートルスケールの空間分解能で試料分子の分光画像が得られる。最近では、このナノ顕微鏡を用いて生体分子から太陽電池に至るまで様々な材料・デバイスのナノ分光分析が国内外で精力的に行われ、企業も巻き込んで高い関心が寄せられている。


しかしながら、従来のナノ光学顕微鏡技術はすべて、物質固有の構造および物性を受動計測することにとどまっているのが現状である。このような状況に鑑み、私は現在、試料物質の物性・機能を単一分子レベルで制御することが可能なアクティブ(能動的)なナノ光学顕微鏡の開発に取り組んでいる。この顕微鏡では、金属針の先端で試料分子に外的摂動を印加することによって探針下の試料分子の物性を局所的に変調し、その物性変化を光学応答の変化として検出することができる。試料分子の物性・機能を単一分子レベルで制御するアクティブな機能を持ったナノ光学顕微鏡が開発されれば、光学顕微鏡の応用範囲はナノ分析・イメージングにとどまらず、分子の機能・発現解明にもおよび、ナノ材料開発への貢献が期待される。



図


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