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関連資料

アナウンスメント

「挑戦的研究賞」の受賞者紹介7

「木質高層建築を実現・普及させる効率的な制振設計法の開発」
応用セラミックス研究所 材料融合システム部門 助教
松田和浩


木材を使うことは森林伐採・環境破壊につながるとイメージされがちですが、森林を健全な状態に保つために、実際は間伐材などの木材を積極的に使用する必要があります。そのため、木材を様々な建物に使おうとする試みが世界的になされており、海外では図1のような木造の高層建物も増えています。しかし、日本では木造といえば戸建住宅がほとんどで、基本的に木造の高層建物はありません。その理由の一つとして、日本は地震大国であり、その地震力に耐えることのできる構造を木造で成立させることが難しいと考えられることが挙げられます。図2は木造・RC造・鉄骨造の荷重−変形角履歴の例を示したものです。RC造や鉄骨造と比べて、木造は宿命的にエネルギー吸収性能が低く、かつ初期剛性も低いことがわかります。
一方、建物の中にエネルギー吸収部材(ダンパー)を入れ、地震による建物の損傷を防ぐ「制振構造」という比較的新しい構造形式があります。制振構造はダンパーにより建物に剛性と減衰(エネルギー吸収性能)を付加する構造であり、それにより前述した木造の弱点を補えば、日本でも木造の高層建物を実現できる可能性が高まります。東工大では、ダンパーを木造建物へ適用するために様々な実験・解析研究を多く行ってきており、性能の優れた制振架構の開発や、それを建物に用いるための設計法の構築に成功しています。それらは主に戸建住宅を対象としていましたが、その実績を高層建物用に応用することで、木質高層建物の効率的な制振構法を開発し、それを用いるための制振設計法を世界で初めて構築することが本研究の目的です。
 具体的には、以下の3つについて、日々研究を進めています。
@地震時の木質高層建物の変形を各階で等しくする最適なダンパー配置法を提案する。
A様々なダンパーを対象として@の理論を応用し、包括的な応答制御理論を導く。
B木質高層建物の実大部分架構にダンパーを設置した試験体の強制変形実験を行い、その力学的挙動を詳細に把握する。

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