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アナウンスメント

「挑戦的研究賞」の受賞者紹介1

原始惑星系円盤の多重ダストリングにおける微惑星形成過程の解明
理学院・地球惑星科学系・准教授
奥住 聡


近年の天文観測の進展によって、宇宙の星々のまわりには惑星が普遍的に存在することが明らかになってきた。これらの惑星や太陽系の惑星は、若い恒星の周囲に広がるガスの円盤(原始惑星系円盤)に含まれる塵や氷の粒(ダスト)を原材料にして形成されたと考えられている。ところが、ダストが惑星を形成するメカニズムの詳細は、多くの謎に包まれている。特に、ダストからキロメートルサイズの固体小天体(微惑星)が作られる過程は最大の謎の1つである。


一方、近年チリに建設された最新鋭の電波望遠鏡アルマによって、原始惑星系円盤に含まれるダストの分布の詳細が次第に明らかになってきた。その結果、いくつかの原始惑星系円盤の中では、ダストが一様に広がっているのではなく、恒星を中心とする複数のリング状に分布していることが発見された。多重リングの存在と惑星形成がどのような関係にあるのかについて、世界的な注目が集まっている。

我々は、ダストの塊の「焼結」と呼ばれる現象が、ダストの多重リング形成を引き起こすという新しい説を提唱している。焼結とは、固体の粒の塊が加熱されて固まる現象で、原始惑星系円盤の複数の軌道で起こることが指摘されている。我々は最近、この現象を考慮に入れた新しいダスト進化モデルを構築し、焼結の起こる軌道付近にダストが濃集することを数値シミュレーションから明らかにした(図参照)。ダストが著しく集中するような軌道では、重力不安定性と呼ばれる現象によって微惑星が形成されることが以前から知られている。そこで今後の研究では、焼結を考慮した我々のダスト進化モデルと重力不安定による微惑星形成モデルを組み合わせ、ダストが多重リング形成を経て微惑星へと進化するまでの過程を、一体的な理論シミュレーションから明らかにすることを目指す。このようなシミュレーションから、微惑星形成の詳細の解明と最新の天文観測の理解という2つの重要課題に同時に挑戦したいと考えている。



図

図. 焼結を考慮した予備的なダスト進化シミュレーションから得られた、原始惑星系円盤のダストの空間分布(左図)と、ダストからの熱放射の模擬観測画像(右図)

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