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「大量核酸供給を可能にする革新的マイクロフロー合成法開発への挑戦」
科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 准教授 布施 新一郎

ペプチド医薬品や核酸医薬品は、従来の創薬の主役であった低分子医薬品のもつ製造コストの低さと近年脚光を浴びている抗体医薬品のもつ開発成功率の高さの双方のメリットを併せもつものと期待されていることから大きな注目を集めている。一方で、どちらについても、低コストで大量の医薬品を供給できる化学合成手法がなく、生産現場で大きな問題となっている。

受賞者はこれまでに、カルボン酸の強力かつ迅速な活性化を基盤とするマイクロフローアミド結合形成反応の開発し、安価で高活性な試薬を用いて副反応や多量の廃棄物の生成を抑えつつ短時間で、高収率で目的物を得ることに成功している。また、開発した手法を利用して、13残基アミノ酸からなる抗HIV・抗菌ペプチドフェグリマイシンの全合成にも成功しており、現在産業応用に向けてさらなる研究開発を継続している。

今後我々は、マイクロフローペプチド合成法の開発で培った、不安定活性種を巧みに扱うテクノロジーを基盤として、核酸合成においても安価で高活性な試薬を用いて、迅速かつ高収率でオリゴ核酸を合成できる手法の開発を進める。これにより、ペプチド医薬品や核酸医薬品の開発・生産分野で我が国が世界をリードし、難病に苦しむ多くの人々が容易に優れた医薬品を入手できるようになればと願っている。

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