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情報過剰の時代における政治の情報発信と受容に関する研究
リーダーシップ教育院准教授 准教授 西田 亮介

本研究は「情報の過剰性」という近年のメディア環境の前提条件の変容に注目しながら、現代の政治情報の発信(エンコーディング)と流通、受信(デコーディング)に関連する諸現象と諸問題を検討するものである。多くの伝統的な、そして現代でも前提とされている多くのメディア研究は情報の過少性を前提としている。例えば政治広報や政治マーケティングなどの分野においては発信量や露出量の増加、すなわち情報量の増加に対して肯定的な態度を取り、新しいメディアが登場するとそれらを駆使して発信情報量の増加に各主体が取り組んでいる。情報流通という点では、とくに日本国内で重要な役割を担ってきたマスメディアは自社の社会的信頼性を相当程度自明視してきたし、「懐疑と啓蒙」の実現可能性に立脚して理論的実践的発展を遂げてきた、一般的な生活者の情報受容におけるメディア・リテラシーも同様である。

その一方で、情報環境の変容が与えた各主体が必ずしも自覚されていない影響については必ずしも詳細な検討がなされてきたとはいえない。たとえば(政治)キャンペーンやメディア業界においても発信量の増加が重視されているが、情報量が増加するということは単位あたりの情報の価値は低下するし、情報発信主体の信頼の自明性は低下する。メディア・リテラシーについていえば情報量のみならず接触頻度の増加などを考慮すると、理念としてはさておき、実践的にはその成立自体に疑義が生じているともいえる。伝統的なマスメディアは従来同様とかく正確な情報発信に注力し、新興メディアは情報の拡散と収益化に注力しがちである。このように伝統的なメディア理論やセオリーの狭間でメディアと政治に関連する多様な問題が生じている。本研究ではこのような関連主体に必ずしも認知されていない環境変化に目を向けながら、メディアと政治に関連する多様な実証研究に注力する。



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