Top > 関連資料 > アナウンスメント > 東工大の星採択者2

関連資料

アナウンスメント

「東工大の星」採択者紹介2

「有機色素の効率的な合成法とそれらを用いた色素増感型太陽電池の開発」
有機・高分子物質専攻 准教授
道信 剛志


■なぜ有機材料か?

安価で環境負荷が低い有機物を使用して機能性材料を創出する研究は、我が国の化学産業において重要な課題の一つである。化学構造を精密に制御することで材料物性を最適化できることが最大の利点である。有機系太陽電池の材料設計においてもこの方法論が有効であることが示されており、近年ではシリコン系太陽電池の性能に徐々に近付いている。


■色素増感型太陽電池の色素とは!

色素増感型太陽電池は有機色素を吸着させた酸化物半導体電極と対極の間に電解質溶液を挟んだ構成となっており、光電変換効率は色素の化学構造に大きく依存している。一般的な有機色素は金属触媒を用いたクロスカップリング反応で合成され、電子供与性基(ドナー)と電子吸引性基(アクセプター)が共役連結した双極子構造をしている。分子内の電荷移動に基づき可視から近赤外領域の光を効率良く吸収することが特徴である。また、酸化物半導体に効率良く吸着するよう電子吸引性基側にカルボン酸基を有していることが多い。

図1
図1:色素増感型太陽電池の素子構造


■本研究の成果

本研究では、クロスカップリング反応を用いずにドナーアクセプター型の有機色素を合成する方法を開発した。電子供与性基が置換したアルキンと電子吸引性のシアノアクセプターを均一溶液中で混ぜるだけで付加反応が進行し、非常に高い収率で可視光を吸収する有機色素を創り出すことに成功した。金属触媒を使用せず、原子利用効率が高い反応であるため環境に優しい方法である。また、シアノアクセプター部位が酸化チタンや酸化スズに直接吸着するため、カルボン酸の導入を省いた分子設計が可能であることを明らかにした。
(*本研究は物質・材料研究機構佐藤宗英博士との共同研究で実施された。)

図2:新たに開発した有機色素の化学構造とそれらを用いた色素増感型太陽電池の性能
図2:新たに開発した有機色素の化学構造と
それらを用いた色素増感型太陽電池の性能


■将来展望

新しい色素を用いた太陽電池の光電変換効率はまだ十分高いわけではない。今後は電子供与性基と電子吸引性基の間にπスペーサーを導入して分子構造を拡張し、太陽光の吸収効率向上と電荷分離状態の長寿命化を実現する予定である。



図
概略図

譚ア莠ャ蟾・讌ュ螟ァ蟄ヲ