≫≫◆DNAを加工した有機EL
(日本経済新聞 5/22朝刊、日経産業新聞6/21)
フロンティア創造共同研究センター 岡畑惠雄教授
サケの白子から取り出したDNAに脂質を結合して色素を取り込ませたフィルムで有機EL素子を試作しました。フィルムの両端に電圧を掛けると1時間くらい光り続けます。DNAは電気を通すので電子材料への応用が可能だという視点での研究成果です。また、DNAは色素を取り込んでフィルムに出来るので、何層にもせずに一層の有機EL素子が可能となりました。
・岡畑研究室
・関連特許:特開2004-082663、特開平11-119270
≫≫◆生分解性ポリマーを短時間で固める技術(日経産業新聞 5/23)
生命理工学研究科 生体分子機能工学専攻 井上義夫教授
シクロデキストリンを溶解状態のポリ乳酸に加えることで固まりやすくなり、成型加工時間が大幅に短縮されることを見出しました。ポリ乳酸だけでなくシクロデキストリン自体も生分解性なので、環境にやさしいプラスチック製品が高い生産性で出来ることになります。
・井上研究室
≫≫◆アメンボ型の四足ロボット(日経産業新聞 5/23)
東工大発ベンチャーの株式会社ハイボットは、本体にバッテリーを設置し4本の足の先にそれぞれ車輪がついているロボットの発売を開始しました。カメラ、検知センサーを装備することができます。荒い路面では車輪部分を収納して歩行し、降雪地や寒冷地での使用も可能です。
・株式会社ハイボット
≫≫◆脳の電気信号でロボットを操作(日刊工業新聞 5/25)
精密工学研究所 小池康晴助教授
脳で考えるだけでロボットやバーチャルリアリティーを自分の身体のように動かせる「ブレインーマシン・インターフェース」の開発研究の一端として、サルの脳細胞のうち18個の活動を測定するだけで、サルの腕の位置や動きを予想することに成功しました。こうした研究は、身体麻痺などで自由に体を動かせない人向けのロボット開発などに繋がります。(5月号のメールマガジンを再掲載)
・小池研究室
≫≫◆液滴転落挙動の解析システムを開発
(日刊工業新聞 5/25、化学工業日報 5/25)
理工学研究科 材料工学専攻 中島章助教授
傾斜表面での液滴の移動速度、接触角などの液滴転落挙動の解析データは、防水滴、防錆、漏電防止などの撥水部材開発に必要です。これまで、こうした解析には人的な誤差が入り、また、1試料の測定に数時間かかっていました。中島助教授らは、高感度カメラと専用光源を用いて画像を取得して新規アルゴリズムで高精度解析を行うシステムを開発しました。このシステムでは、人的な誤差を排除し、さらに2分程度という短時間の測定を可能にしました。
・中島研究室
・関連特許:特願2006-051982(最新特許情報をご覧ください)
≫≫◆汎用指紋照合LSI技術
(日経産業新聞5/30、日刊工業新聞5/30、化学工業日報6/5)
東工大発ベンチャーの株式会社ビヨンド・エルエスアイは、指紋認証用ワンチップ超小型LSI(5mm角)を開発しました。このLSIにセンサーとデータベースを接続して使用します。プログラムサイズが小さく使用メモリー量が少ないアルゴリズムを利用しており、センサーや用途によってプログラムの変更も可能です。1秒間に千人分の指紋と照合する高速処理が可能です。
・株式会社ビヨンド・エルエスアイ
≫≫◆シーラカンスのDNAと一部と哺乳類のDNAが共通
(朝日新聞5/30夕刊)
生命理工学研究科 生体システム専攻 岡田典弘教授
タンザニアから寄贈されたシーラカンスの標本を研究している岡田教授らは、シーラカンスのDNAの一部が爬虫類、鳥類、哺乳類に共通しており、3億年以上前から続いていることを見出しました。この部分は、たんぱく質に翻訳されない部分で、同じ塩基配列が繰り返されている反復配列と呼ばれる部分です。
・岡田研究室
≫≫◆木質バイオマスから水素ガスを生産
(中国新聞6/3朝刊、日経産業新聞6/22)
炭素循環エネルギー研究センター 花村克悟教授
花村教授らは、木屑(木質バイオマス)と戸田工業が開発した新規触媒から効率的に水素を取り出すシステムを開発していますが、エネルギー関連企業の岩国ウッドパワーが、このシステムを用いた発電所(岩国市)の稼動を始めました。また、花村教授らは、より少ない触媒で水素を発生できるような効率の良い装置を開発しています。
・花村研究室
・関連特許:特開2005-206404
≫≫◆機器異常検知システム(日経産業新聞 6/5)
理工学研究科 機械物理工学専攻 轟章助教授
本学は、トンネル送風機のシステム異常を自動感知する技術を電業社機械製作所に提供しました。送風機を天井に固定する際に用いるアンカーボルトに伝わる振動を解析することでシステム異常を感知するもので、轟教授の解析技術を用いています。センサーの情報を遠隔地に送って解析することが出来るため、ライフラインの管理にも応用できると考えられます。
・轟研究室
・関連特許:特開2002-039920 特開2001-208656 特開2001-060207
≫≫◆単一微粒子の生成履歴を解析する装置(化学工業日報6/5)
資源化学研究所 藤井正明教授
藤井教授、工学院大学の坂本助教授らは、大気浮遊粒子状物質、発電所からの飛灰や二次粒子の生成履歴を把握する装置の開発を行っています。これは、粒子1個を収束イオンビームでスパッタしながら出てきた破片をイオン化して質量分析するもので、粒子の深さ方向の成分を無機成分・有機成分ともに分析することが可能です。
・藤井研究室
≫≫◆ナノファイバー開発をNEDOから受託
(化学工業日報6/5、日刊工業新聞6/7、日経産業新聞 6/13)
理工学研究科 有機・高分子物質専攻 谷岡明彦教授
谷岡教授らの研究グループは、電界紡糸(エレクトロスピニング)、溶融極細繊維紡糸の大型装置を用いた超極細繊維の製造技術の開発を目指して、11の企業と一緒にプロジェクトを開始します。これは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの受託研究です。目標は、直径50nm、直径のばらつきが20%未満の超極細繊維で、薄層燃料電池のや情報家電への応用を考えています。
・谷岡研究室
・関連特許:特開2006-022463 特開2005-281679 特開2005-290610
≫≫◆橋の危険度を判定するシステム(日本経済新聞 6/9)
理工学研究科 土木工学専攻 三木千壽教授
NTTデータ、横浜国立大学などと一緒に、地震直後の道路や橋などの危険性を迅速にチェックできるシステム運用の実験を始めます。高速道路などには通信用の光ファイバーが整備されていますので、地震などで道路や橋が歪むと光ファイバー中の光の進み方が変化することを感知して、道路や橋の歪みを計算して危険度を判断するものです。
・三木研究室
・関連特許:特開2006-084404、特開2005-009928
≫≫◆廃棄プラスチックから水素を製造(日経産業新聞 6/12)
総合理工学研究科 環境理工学創造専攻 吉川邦夫教授
吉川研究室は株式会社伸光テクノと共同で、空気のない状態で加熱してガス化した廃棄プラスチックに触媒存在下で水蒸気を加えて水素を取り出す装置を開発しました。従来の粉末状にした廃棄プラスチックと酸素から水素を製造する方法に比べると、2倍の水素が得られます。今後、連続運転が可能なように装置を改良していく予定です。
・吉川研究室
・関連特許:特開2006-017437、特開2004-210942
≫≫◆電子1個の電流を測定する装置を開発
(日本経済新聞 6/16朝刊、日刊工業新聞 6/16、化学工業日報 6/16)
理工学研究科 物性物理学専攻 藤澤利正 連携講座助教授(NTT連携講座)
【最近の研究成果】を参照ください。
≫≫◆コウモリとウマは同じ祖先であることが判明
(日本経済新聞、朝日新聞、東京読売新聞 6/20夕刊)
生命理工学研究科 生体システム専攻 岡田典弘教授
岡田教授らの研究グループは、進化の過程で取得されてその後抜け落ちることのないDNA中の「レトロポゾン」という配列を用いて、進化の道筋を調べています。その結果、コウモリはウマやイヌと約一億年前に分かれて進化した仲間でありサルやネズミとは遠く、ウマは蹄を持つウシやブタとは別の起源であることが判りました。
・岡田研究室
≫≫◆イルカの赤ちゃんの睡眠を解明
(東京新聞6/22朝刊、日本経済新聞6/22夕刊、毎日新聞6/22夕刊)
生命理工学研究科 生体システム専攻 幸島司郎助教授
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※本学教員の肩書きは、2006年6月1日現在のものです。 |